
HYBE対ミン・ヒジン:260億ウォン転換権を巡る法廷での泥沼化
HYBEとADORのミン・ヒジン代表が、約260億ウォン(約27億円)相当のプットオプション(Put Option)の行使を巡り繰り広げている法廷での攻防が、11日の第2回弁論期日でさらに激しさを増した。
ソウル中央地方法院民事合意31部は同日、ミン代表側がHYBEを相手取って提起した株式売買代金請求訴訟と、HYBEがミン代表らを相手取って提起した株主間契約解除確認訴訟を並行して審理した。
この日の法廷にはミン代表自身が出席し、HYBEの最高法務責任者(CLO)であるチョン・ジンス副社長が証人として出廷し、双方の尋問を受けた。チョン副社長は、ミン代表とHYBEが締結した株主間契約について「非常に破格的な補償」であったと証言し、これは通常、会社を売却したり残りの持分を追加で売却する際に適用される水準の倍率だと説明した。また、マルチレーベル体制構築の過程で発生しうる系列会社間の支配構造問題を防止するための条項が含まれていたと付け加えた。
ミン代表が提起した「奴隷契約」の主張に対しても、チョン副社長は、契約に非常に破格的な補償が含まれていたにもかかわらず、それを不公正契約と見なすことには同意しないと反論した。彼は、ミン代表が契約再交渉の過程でプットオプションの行使価格を13倍から30倍に引き上げてほしいと要求し、代表権限の強化、専属契約解除権限の単独付与、外部委託契約の単独締結といった条件を提示したと証言した。
特に30倍のプットオプション要求について、チョン副社長は、売上高よりも多くの金額を受け取ることになる状況が発生しうるとして、これはプットオプション本来の趣旨に合致しないと指摘した。彼は、ミン代表のこのような要求が「専横的な権力」を持つ代表を作り出そうとする意図に映り、類似の「テンパリング(tempering)」問題への懸念を抱かせたと付け加えた。
ミン代表の行動にHYBEが疑念を抱き始めた時期について、チョン副社長は2024年2月頃、社外取締役からの情報提供を皮切りに、3月頃にはドゥナム(DooNAM)会長との単独会見要請や、汝矣島(ヨイド)の証券会社アナリストとの接触を通じた虚偽の噂の流布といった情報提供についても具体的に言及した。また、NewJeansの親御さん宛に送られた抗議メールも、問題提起というよりは本格的な問題を引き起こそうとする意図に見えたとし、アーティストを引き抜こうとする動きと解釈したと明らかにした。
チョン副社長は、ミン代表が年末年始に日本の投資家と接触し、投資を模索していたという情報提供とともに、当時NewJeansの専属契約仮処分申請に関する日本の法律事務所の意見書を投資家に渡すなど、積極的な動きを見せていたと証言した。彼は、大株主(HYBE)に隠れて投資家と会うことは異常であり、カカオトークの会話内容を見ると、HYBEにこれを隠して密かに話していたと反論した。
これに対し、ミン代表側はチョン副社長の証言について「嘘が多すぎる」と強く反発し、プットオプションの行使は有効だと主張した。両者はプットオプションの効力と契約解除の適法性を巡り、鋭く対立しており、今後の裁判の結果に注目が集まっている。
ミン・ヒジンは、SMエンターテインメントで少女時代、SHINee、EXOなどのグループのビジュアルコンセプトを手がけ、その独創性で注目を集めた。その後、HYBEに移籍し、レーベルADORを設立。ガールズグループNewJeansを大成功に導き、K-POPシーンにおける彼女の影響力を確固たるものとした。彼女は、革新的なプロデュース能力と独自の芸術的世界観で、世界的な音楽業界で高く評価されている。